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涼口ハルオの筋肉 2-プロローグ

 
 
 あなたは宇宙人や未来人や超能力者、はたまた薔薇族を見たことがあるだろうか。
 
 既に見たことがあるというならば俺は何も言うことが無い。
 早くあなたはあなたの日常に戻って、ハーレムでラブコメったり魔法学園で戦争したり12人の妹に囲まれたり仇討ちに失敗してカラクリ仕掛けの体になった挙句喋る刀と一緒に旅をしたり巨大ロボットに乗って最期は殺人カビで地球ごと滅んだり妹の人生相談に乗ってやったりコンバットアーマーをレンタルしてガチャラと戦ったりはたまた24会館でオルテガさんの凶器を拝んだり……
 とにかくまあ、あなたは自分の世界に戻るといい。
 
 だがそれらを見たことは無いけれども、「見たい」と思っている奴は居るだろうか。
 そんな奴には俺は全力でこの言葉を捧げよう。すなわち、「見えぬが花」と言うことだ。
 
 幽霊の正体見たり枯れ尾花、という句は芭蕉だったか。見えないうちはとても魅力的に見えるものだが、いざ見えてしまうと正体はつまらない物だったという事も良くある。
 見たいと思っている奴はあれだろう?どうせ現実世界の極々平凡な日常に飽き飽きしてしまって、非日常へと旅立ちたいのだろう?
 
 ああ、そうさ、俺もそうだった。あの幽霊の正体である、涼口ハルオを見るまでは。
 ひょんな事から俺は、そんな枯れ尾花達が「見える」立場になってしまった。
 ただそれは枯れ尾花というには余りにも猛々しく、そして勇猛で、雄臭く、非常に不条理なホットガイではあったのだが…。
 
 
 さて、今日はとある人物が新入部員として登場した時の事を話すとしよう。
 これもまた不条理の塊であるハルオらしい、いかにも不条理極まりない出来事だったのではあるが、俺にとってみればこの日は一種のターニングポイントでもあったと言えよう。
 春。出会いと別れの季節。
 話はハルオが部室にとある人物を連れてきた所から始まる―――。
 
 
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