戻る

【コ・ピペ】イオの魔法

 
 ...彼はどこにでも居る善良な男であった しかし...嗚呼...どこで道を違えてしまったのだろうか
 
 無機質な四角い小部屋 陶磁器のような床に写り込む 哀れな男の陰鬱な顔
 始まる前から定められた結末 古めかしい時計の秒針 世の理に抗う術も無く時の砂は零れ落ちていく
 茨に捉えられた氷の心 疾く疾くと喚き立てる
 
 やがて断罪の扉は軋んだ音を立てて開かれる
 乾いたノックが二回 芯に注がれる恐怖
 悔悟の間すら与えられず 罪人は漆黒の焔にかき抱かれるであろう
 
 特技は...<<イオナズン>>とありますが...
 
 白髪の老人 残酷に審判の時を告げる
 届く事の無い祈り ささやかな好奇心の代償に 彼の道は閉ざされる
 
 それは魔法 すべての敵に百と二十の痛みを与える 恐れの魔法
 その魔法とやらは この会社のメリットとはなり得ない
 それは魔法 外なる敵に対する守護の鉄壁 何人たりとて灼き尽くされる
 その敵とやらは この会社には存在しない
 
 紡がれる虚空の言 悪魔の囁きは今や鋼の刃となりて 深紅の雫を待ち望む
 嗚呼...何故あの時<<野球>>と書かなかったのであろうか 深夜三時に降り立つ堕天使は人の正気を容易く葬り去ってしまう
 
 そこまで言うのならばどうぞ使ってみて下さい その<<イオナズン>>とやらを
 今こそ断罪の時 定められた約束 罪人は漆黒の焔に抱かれん
 
 残念...MPが足りないようだ...
 
 嗚呼...MPなど初めからありはしないのに 振り絞るように彼は言った
 嗚呼...悪魔の囁きさえありはしなければ 総ての運命は違えていた筈なのに
 
 ―――そして
 男の元に届いた一通の手紙
 それは初めから約束された運命 哀れな男の末路
 手紙には一言...<<不採用>>...
 
 
戻る